被覆熱電対線について
二宮電線工業では熱電対をより使い易くするため、熱電対素線に被覆を施した、軽量かつ柔軟性のある手軽な被覆熱電対線を販売しています。 2つの異なる材質の導線でつくる閉回路で、両端の接合部の温度が異なると、この回路にゼーベック効果による熱起電力が発生し、電流が流れます。
この熱起電力を発生させる目的で2種類の導線(熱電対素線)の一端を電気的に接続したものを熱電対といいます。
熱電対素線は熱電対を作るため長尺品で用意されたもので、必要な長さに切断し、一端を電気的に接続することにより熱電対となります。被覆熱電対線は熱電対素線にビニル、シリコーンゴム、フッ素樹脂、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維等の絶縁材料を被覆しています。
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補足情報
被覆熱電対線の種類・識別・導体材質
二宮電線工業の被覆熱電対線は[JIS C 1602-2015]および[ASTM E230(旧ANSI MC 96.1)]にそれぞれ準拠した熱電対素線を導体として用い、絶縁被覆加工した製品です。また、絶縁体およびシースに関しては広範囲の用途に使用して頂くため、補償導線(JIS C 1610-2015)を参考にし、二宮電線工業規格としております。
熱電対 の 種類 |
導体材質 | JIS C1602-2015 | ASTM E230(旧 ANSI MC 96.1) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
+ | - | 被覆熱電対線の色 | 許容差 | 被覆熱電対線の色 | 許容差 | ||||||
JIS C1610-2012 (1995 区分1) |
JIS C1610-1995 区分2 |
クラス | 測定温度範囲 | 許容差 | クラス | 測定温度範囲 | 許容差 | ||||
N | ニッケル クロム 合金 |
ニッケル シリコン 合金 |
- | クラス1 | -40℃以上 +375℃未満 |
±1.5℃ | Sp: スペシャル |
0~1260℃ | ±1.1℃ or ±0.4% |
||
375℃以上1000℃未満 | ±0.004・| t| | ||||||||||
クラス2 |
-40℃以上 +333℃未満 |
±2.5℃ | St: スタンダード |
±2.2℃ or ±0.75% |
|||||||
333℃以上1200℃未満 | ±0.0075・| t| | ||||||||||
K | ニッケル クロム 合金 |
ニッケル 合金 |
クラス1 | -40℃以上 +375℃未満 |
±1.5℃ | Sp: スペシャル |
0~1260℃ | ±1.1℃ or ±0.4% |
|||
375℃以上1000℃未満 | ±0.004・| t| | ||||||||||
クラス2 |
-40℃以上 +333℃未満 |
±2.5℃ | St: スタンダード |
±2.2℃ or ±0.75% |
|||||||
333℃以上1200℃未満 | ±0.0075・| t| | ||||||||||
E | ニッケル クロム 合金 |
銅ニッケル 合金 |
クラス1 | -40℃以上 +375℃未満 |
±1.5℃ | Sp: スペシャル |
0~870℃ | ±1.0℃ or ±0.4% |
|||
375℃以上800℃未満 | ±0.004・| t| | ||||||||||
クラス2 |
-40℃以上 +333℃未満 |
±2.5℃ | St: スタンダード |
±1.7℃ or ±0.75% |
|||||||
333℃以上900℃未満 | ±0.0075・| t| | ||||||||||
J | 鉄 | 銅ニッケル合金 | クラス1 | -40℃以上 +375℃未満 |
±1.5℃ | Sp: スペシャル |
0~760℃ | ±1.1℃ or ±0.4% |
|||
375℃以上750℃未満 | ±0.004・| t| | ||||||||||
クラス2 |
-40℃以上 +333℃未満 |
±2.5℃ | St: スタンダード |
±2.2℃ or ±0.75% |
|||||||
333℃以上750℃未満 | ±0.0075・| t| | ||||||||||
T | 銅 | 銅ニッケル合金 | クラス1 | -40℃以上 +125℃未満 |
±0.5℃ | Sp: スペシャル |
0~370℃ | ±0.5℃ or ±0.4% |
|||
125℃以上350℃未満 | ±0.004・| t| | ||||||||||
クラス2 |
-40℃以上 +133℃未満 |
±1.0℃ | St: スタンダード |
±1.0℃ or ±0.75% |
|||||||
133℃以上350℃未満 | ±0.0075・| t| |
※ 許容差とは、熱起電力を規準熱起電力表によって換算した温度から測定接点の温度を引いた値の許される最大限度をいいます。
※ t=測定温度(℃)
※ガラス絶縁、セラミック絶縁製品は各色のスジでの識別が標準となります。
※ K-SLGB 製品(P.9)は、ポリイミド塗料(茶褐色)を使用するため、黒スジでの識別が標準となります。
※熱電対線や補償導線は使用環境や導体のサイズにより劣化の状況(寿命)が異なります。定期的に校正・交換して頂くことをお薦め致します。
導体抵抗・起電力値・使用限度温度
熱電対線の各サイズ往復導体抵抗一覧表(参考値 20℃・標準)
(Ω/m)
種類 導体径(mm) |
N | K | E | J | T |
---|---|---|---|---|---|
0.05 | - | 494 | - | - | - |
0.1 | 158 | 124 | 150 | - | 64.6 |
0.2 | 39.5 | 30.9 | 37.6 | 19.4 | 16.1 |
0.32 | 15.4 | 12.1 | 14.7 | 7.58 | 6.30 |
0.65 | 3.74 | 2.92 | 3.56 | 1.84 | 1.53 |
1.0 | 1.58 | 1.24 | 1.50 | 0.777 | 0.646 |
熱電対の起電力一覧表 (JIS C1602-2015)
(μV)
温度(℃) 種類 |
0 | 100 | 200 | 400 | 600 | 800 | 1000 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
N | 0 | 2774 | 5913 | 12974 | 20613 | 28455 | 36256 |
K | 0 | 4096 | 8138 | 16397 | 24905 | 33275 | 41276 |
E | 0 | 6319 | 13421 | 28946 | - | - | - |
J | 0 | 5269 | 10779 | 21848 | - | - | - |
T | 0 | 4279 | 9288 | - | - | - | - |
熱電対導体の常用限度温度および過熱使用限度温度
線径(mm) | N | K | E | J | T | |
---|---|---|---|---|---|---|
0.05 | 常用(℃) | - | 100 | - | - | - |
過熱(℃) | - | 200 | - | - | - | |
0.1 | 常用(℃) | 300 | 200 | 100 | - | 100 |
過熱(℃) | 400 | 300 | 150 | - | 150 | |
0.2 | 常用(℃) | 400 | 300 | 200 | 200 | 100 |
過熱(℃) | 500 | 400 | 300 | 300 | 150 | |
0.32 | 常用(℃) | 500 | 400 | 200 | 200 | 200 |
過熱(℃) | 600 | 500 | 300 | 300 | 250 | |
0.65 | 常用(℃) | 850 | 650 | 450 | 400 | 200 |
過熱(℃) | 900 | 850 | 500 | 500 | 250 | |
1.0 | 常用(℃) | 950 | 750 | 500 | 450 | 250 |
過熱(℃) | 1000 | 950 | 550 | 550 | 300 |
※ 部分はJIS C1602-2015(解説表3)を引用しております。(10000・250)
その他の数値につきましては参考値となります。
※常用限度温度とは空気中において使用できる温度の限度をいいます。
※過熱使用温度とは必要上、やむを得ない場合に短時間使用出来る温度をいいます。